新谷監督が逝く猪威悪高校栄冠ナイン日記 2年目その2 パワプロ2020 夏

前回のあらすじ

新入生が入ってきた。また夏が始まる。

2年目の夏が幕を開ける。

「もう7月か、早かったな」

既に季節は6月末、もうすぐ7月を迎えようとしている。

正直自分では今年は比較的順調に来ていると思っている。

新入生では期待の選手が来てくれた。

信頼できるエースの渋川。

本人は認めないだろうが精神的にも打線的にも中心になっている永井。

投打の軸がしっかり出来ているのはかなり嬉しいことだ。

ー去年とは違う。

行くんだ、甲子園に。

こうして再び夏が始まった。

一回戦

湘南商業高校　　（戦力D）

戦力はDかもしれんが、たかだか商業高校に負けるわけないだろうが！！

「よっしゃ行くぞ！！勝つこともそうだが、楽しんでいこう！！」

「「「オー！！」」」

スタメンは3年メイン

1番　三年生の木川

2番　まさかの大抜擢　一年生センター　藤井

3番　守備は打力でカバーセカンド　河端

4番　キャプテン　ファースト永井

5番　飛ばし屋　キャッチャー　半沢

6番　ヒットメーカー　レフト　前山

7番　エース渋川

8番　発展途上　ショート　岩間

9番　暖かくして寝ろ　サード　上本

さぁ、行こう！

試合はまさかの投手戦。

「正直、点は取れると思っていたんだがな。」

「なかなかヒットが出ませんね。」

そもそも塁に出ないのだ。

点の取りようがない。

「こういう時に怖いのと言えば・・・」

ガキンッ！！

「うわ、マジか。」

「甘く入っちゃいましたね。」

「これは、キツイな。」

この流れはマズイな。

なんとか状況を変えなければ、勝てないぞ。

イニングはもう既に折り返してる。

あと4イニング。

なんとか点を取り返せるか。

その願いは虚しく、一人、また一人とアウトになっていく。

塁に出ても綺麗にゲッツーを打つ忖度打線。

「ん～」

「どうしますか？監督？？何か動きますか？？」

「このチームは、動いてどうにかなるメンバーはいない。今出せる最大限のメンバーを出してる。何も、出来ない。」

祈る。

なんの役にも立たないことしか出来ないが。

頼む、点を取ってくれ！

8回裏

一筋だけ光が射す。

先頭の上本が出塁、続く木川がライトへヒット。

4回以来のチャンスだ。

「ここしかない!　なんとか2点取るぞ。一点じゃダメだ。2点、取るぞ！」

バッターは一年生で即スタメンの藤井。

「監督、代打は出しますか？？」

「出さない。藤井に打たせる。」

その藤井が、レフトへのタイムリーヒット！

これで2-1

「よしナイスー藤井！！」

「ナイスー藤井くん！！」

貴重なタイムリーを打った藤井は一塁塁上で少しだけホッとしたような、それでいて喜びを隠し切れてない表情をしていた。

「・・・・・」

それを見ていた一つの視線。

前は気づかなかったけど、今は気づいた。

（あそこにいるのは俺のはずだ！）

そういう嫉妬、そして闘志。

いつかお前にもチャンスが巡ってくる。

いつか自分にもチャンスが来る。

そういう強い決意の視線だった。

そんなこと思ってたらアウトカウント一つ増えてた。

「河端はしれっとアウトになってる。」

4番　永井

普段とは違う真剣な表情。

いやある意味本当の顔。

結果はこうなる。

永井の同点タイムリーツーベース！！

なおもランナー二三塁。

塩屋は三振、あとでしばく。

バッターは渋川、うちのエース。

全く、永井も渋川もいいところで回ってくるな。

（俺が抑えれば、負けることはない。）

（逆に言えば・・・！）

（俺が打てば勝てる！！）

渋川の執念の勝ち越しタイムリー！

チームを勝たせるエースとはカッコよくなっちゃって。

チームを勝たせるエースはそのまま九回を抑えて、チームは無事に1回戦を突破。

最後は空振りの三振で締めた。

たまにしか三振取らない癖に・・・

ともあれ冷え冷えの試合だった。

一回戦から心臓に悪い。

その甲斐もあってか（中堅校）と呼ばれるようになった。

「流石にまだ早くないか？？」

「世間からの評価がそう言ってるんだから胸を張りましょうよ！！」

こういう時にマネージャーがポジティブなのは助かる。

晴れて中堅校となった猪威悪高校。

中堅校が2回戦敗戦、なんてことはないように頑張ろうか。

次回2回戦　

今回は以上です。

正直かなり冷や冷やした試合でしたが、何とか勝つことが出来ました。

次回もお楽しみに